Monthly Archives: 8月 2015

中村うさぎの人生相談

なんで悔しい思いをするのかというと、「相手は自分より劣っている」と私もあなたも思っているからです。

人生相談のお時間です。
今回は「持たざる人」からのご相談です。

 

【お名前】
持たざる人さん

【都道府県】
大阪府

【性別】
女性

【年齢】
41歳

【ジャンル】
人間関係

【相談内容】
こんにちは。もしかしてうさぎさんにこの文章を読んでもらえるかと思っただけで、とても緊張します。正義感の強い毒舌が爽快で、ご本を読みまくっております。そして水曜日が勘違い女優気取りのせいで、クソつまんなくなりました。
相談ですが
私はとても頭が悪くて生きにくいのです。トロいというやつで。うさぎさんのように賢い方にはトロくて、意志薄弱で話の切り返しが全くできないタイプの思考は想像もつかないと思います。脳みそが指令を出してくれないのですから。3歩歩くと物忘れをします。仕事のときも、通りすがりのおっさんにバカにされたときも、何が起こったか理解するのに時間がかかって、何もできません。大卒ですが、派遣でしか働いたことがありません。それをカバーするかのように、倫理観だけは持ち合わせているつもりです。でも、世間に出れば、ヤンキーのほうが仕事ができます。表裏のある女のほうがミスがありません。私はこのような人たちに仕事上では、平身低頭で過ごしています。ゴミをポイ捨てしたり、人を小バカにして笑っている姿をみて腹が立っても、私はこの人たちから教えを乞わないといけないし、いつか迷惑をかけてしまうからです。仕事ばかりではありません。夫にも、義父母にも。友達にも。だって、なんにつけ私は理解が遅く、それを私自身も恥じています。
でもこんな不条理な世の中に本当に嫌気がさしています。私のような人間を瞬時に見分けて、すれ違いざまに文句を言ってくる人間もいます。妊娠中にサンバイザーで日焼け防止してたら、私オッサンに『顔隠して腹隠さず』と言われました。オドオドするなとうさぎさんはおっしゃってくれるかもしれませんが、そうしないで生きる方法があるんでしょうか。
気持ち悪い長文ですみません。
要はトロい人間が、日々舐められることを苦にせず生きる方法はありませんかという質問です。

 

【中村うさぎの回答】

えーと、最初に言っておきますが、私は「持たざる人」さんが思っているほど賢くもないし、切り返しも速くないです。
むしろ反射神経が鈍いほうだし、咄嗟に言い返したりするのもうまくありません。あとで「あの時こう言ってやればよかった」などと思い返して悔しがるタイプですね。
TVの私を見ているとそうは見えないのかもしれませんが、あれは話題が得意分野だったりハイテンションだったり(じつは私はTV出演があまりに苦手なので、TVに出る時にはテンションを無理やり上げる習性が身についてしまいました)するためで、普段の私はモタモタした人間です。

ゲームでも、人からよく「トロい」と言われます。運動神経の無さもさることながら、テンパりやすいうえに咄嗟の判断力が人並み以下で、たいていドジなことをしてしまうからです。
リアルでは「怖い女」というイメージが先行しているので私に面と向かってバカにしたり舐めた口をきく人はほとんどいませんが、素性も知らないネットゲームの世界では舐められまくりですよ。
おそらく私の年齢の半分以下のクソガキでヤンキーでニートのネトゲ廃人から「モタモタしてんじゃねーよ」などと戦闘中にチャットで罵られたりします。
非常に悔しいですが、ほんとにトロいので言い返せません(笑)。

なので、私には「持たざる人」さんの気持ちがよくわかります。

 

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中村うさぎの著書 『他者という病』発売のお知らせ

2015年8月21日(金)、中村うさぎの著書
『他者という病』が発売されます。

本書では、臨死体験を含む闘病生活、レギュラー番組降板の内幕、そして生と死についての深い考察と、

嘘のない言葉で本質を丸裸にしていく「うさぎ節」が炸裂した内容となっています。

皆様、是非チェックしてくださいね!

詳細ページはこちら

著作本一覧

他者という病

  • 他者という病

  • 出版社:新潮社

  • 発売日:2015/8/21

    単行本: 217ページ

  • 死に損なった以上、最後まで戦ってやる! 全身全霊をかけた女王様の壮絶体験記。

    死の淵から三度の生還を果たした女王様を待っていたのは、薬の副作用による人格変容の恐怖だった――。

    レギュラー番組降板の内幕、これ以上ないほど考えた生と死、そして他者の目を気にし続ける自分について。

    噓のない言葉で自分も相手も丸裸にする「うさぎ節」が炸裂! 笑って読めて身に沁みる、比類なきドキュメント。

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「ゴクドーくん漫遊記」脇役のキャラクターの名前をつけるのに苦労した。

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「ゴクドーくん漫遊記」の脇役キャラクターの名前をつけるのに苦労した。
苦しんだ結果、俳句をバラバラにして名前をつける事にした。お話・・・

中村直腸の裏話予告編
http://bit.ly/1DKD617

 

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価値観の合わない人たちと情報交換をしたって、自分が不安になるだけです。

人生相談のお時間です。
今回は、私に寄せられる相談の中では珍しい「子育て&ママ友」問題です。
ご相談者は「のまのま」さん。

ご存知かと思いますが、私には子どもがいません。
なので「子育て」も「ママ友」も経験ありません。
したがって、「のまのま」さんに対する私の回答は「他人事だと思いやがって」と感じられるかもしれません。
確かに「他人事」なのです、私にとって。

が、その「他人事」を自分のことのように考えてみるのも興味深いと思って、あえて挑戦することにしました。
とんちんかんな回答でしたら、ごめんなさい。
今から謝っておきますね。

 

【お名前】
のまのまさん

【都道府県】

【性別】
女性

【年齢】
-歳

【ジャンル】
人間関係

【相談内容】
うさぎさん、大好きです。

ご相談したいのは、ママ友関係が苦手ということです。みんな良い人達なんですけど、私の問題で。
元々子供が好きではなく、しかも専業主婦も羨みと蔑み両方の目で見ているタイプでした。
ステキなママ友関係を夢見て来ていませんし、あまり望んでもいません。そもそも子供ありきの関係だとある程度割り切っています。
元来社交的じゃないので、面倒だとも思いますし。

今自分が子持ちの専業主婦になってみたら、あの人達、一日中何してるわけ?なんて思ってた自分に呆れます。やたらに忙しい。毎日あっという間に夕方。

それは良いのですが、同じ境遇のママ友達。
特にグループとかにも属さず、ただ挨拶を交わすのみなので、なんの問題もないのですが、ちょっとした立ち話でも、あそこの子はもうこんなに勉強が進んでいるのか!とか、比べてしまい、ヤバい!と思って我が子にやらせてみると、そもそも机に向かわせること自体が難しい有様で。
子供らしく走り回ってるだけなのに、ガミガミする自分もイヤ。
それが他の子と比べた結果なのも可哀想。
っていうか、そもそもまだ赤ちゃんに毛が生えたような子供に勉強っているか?
でも最近はみんな熱心だよね。とか色々考えちゃうので、あまり他のママ達と深い話をしないようにしてますが、それでも気にはなるし、情報をシャットアウトして独自の教育方針でやるほどの自信は皆無なので困ります。

これが自分のことなら、一匹狼でケセラセラ~な感じで行けるのですが、幼児教育は、なにせ親がどんだけやらせるかにかかってますので、困ります。子供の将来もかかってるし。

自分がテキトーなせいで子供がとばっちりを受けるのは可哀想。

色々書きましたが、要は、人と比べずに我が子の良いところを伸ばすような教育をしたいが、どうしたら良いですか?ということです。

もしかして、比べてるのは子供同士じゃなく、あんなに素晴らしいママに比べて、私ったら。みたいに、他のママと自分なのかも知れませんね。

それならやりようがあるかも?

嫉妬とかそういう問題もあるのかな?

いかが思われますか?

よろしくお願いします。

 

【中村うさぎの回答】

のまのまさん、私が思うに、あなたはとっても健全なお母さんです。
私は元来、幼児の詰め込み教育には批判的です。
子どもの頃にはもっと他に学ぶべきことがあると思うからです。

たとえば「1+1=2」なんて、幼い頃には知らなくてもいい。
それよりも1個のリンゴが無限に増えていく物語とか、世界で自分がたった1個だと思っていたリンゴが別のリンゴに初めて出会うお話とかを、子どもと一緒に考えていくような、そんな幼児教育を私がお母さんだったらしたいと思います。
幼い子どもに必要なのは、突拍子もない創意工夫や自由な想像力だと思うからです。
「1+1=2」なんてことを先に覚えてしまったら、思考が枠にはまってしまい、そこから先の想像力が広がらなくなるような気がする。
あくまで「気がする」だけですが。

なので、のまのまさんが「子どもらしく走り回って」いる我が子を無理やり机に座らせて勉強させたくない気持ちは、私もひどく共感します。
だって、そんなことしたら、勉強の嫌いな子どもになっちゃうよ。
子どもは放っておいても学びたがる生き物です。
「なぜ?」「どうして?」と訊いてくるのは、知りたいからです。
そして、知りたいことを知った時にこそ、人は「知識を得る喜び」を味わいます。
その喜びを知った子どもは学ぶことに積極的になる。
べつに知りたいとも思ってない知識を無理に詰め込まれるより、知りたいことを知る喜びを体得した子どものほうが、大人になってからの思考力の伸びが違うと思います。

もしも私に子どもがいたら、もっとも伝えたいことは何だろう?

 

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