ARTICLE 中村うさぎの人生相談

  • 価値観の合わない人たちと情報交換をしたって、自分が不安になるだけです。

  • 2015年08月13日 (木)

人生相談のお時間です。
今回は、私に寄せられる相談の中では珍しい「子育て&ママ友」問題です。
ご相談者は「のまのま」さん。

ご存知かと思いますが、私には子どもがいません。
なので「子育て」も「ママ友」も経験ありません。
したがって、「のまのま」さんに対する私の回答は「他人事だと思いやがって」と感じられるかもしれません。
確かに「他人事」なのです、私にとって。

が、その「他人事」を自分のことのように考えてみるのも興味深いと思って、あえて挑戦することにしました。
とんちんかんな回答でしたら、ごめんなさい。
今から謝っておきますね。

 

【お名前】
のまのまさん

【都道府県】

【性別】
女性

【年齢】
-歳

【ジャンル】
人間関係

【相談内容】
うさぎさん、大好きです。

ご相談したいのは、ママ友関係が苦手ということです。みんな良い人達なんですけど、私の問題で。
元々子供が好きではなく、しかも専業主婦も羨みと蔑み両方の目で見ているタイプでした。
ステキなママ友関係を夢見て来ていませんし、あまり望んでもいません。そもそも子供ありきの関係だとある程度割り切っています。
元来社交的じゃないので、面倒だとも思いますし。

今自分が子持ちの専業主婦になってみたら、あの人達、一日中何してるわけ?なんて思ってた自分に呆れます。やたらに忙しい。毎日あっという間に夕方。

それは良いのですが、同じ境遇のママ友達。
特にグループとかにも属さず、ただ挨拶を交わすのみなので、なんの問題もないのですが、ちょっとした立ち話でも、あそこの子はもうこんなに勉強が進んでいるのか!とか、比べてしまい、ヤバい!と思って我が子にやらせてみると、そもそも机に向かわせること自体が難しい有様で。
子供らしく走り回ってるだけなのに、ガミガミする自分もイヤ。
それが他の子と比べた結果なのも可哀想。
っていうか、そもそもまだ赤ちゃんに毛が生えたような子供に勉強っているか?
でも最近はみんな熱心だよね。とか色々考えちゃうので、あまり他のママ達と深い話をしないようにしてますが、それでも気にはなるし、情報をシャットアウトして独自の教育方針でやるほどの自信は皆無なので困ります。

これが自分のことなら、一匹狼でケセラセラ~な感じで行けるのですが、幼児教育は、なにせ親がどんだけやらせるかにかかってますので、困ります。子供の将来もかかってるし。

自分がテキトーなせいで子供がとばっちりを受けるのは可哀想。

色々書きましたが、要は、人と比べずに我が子の良いところを伸ばすような教育をしたいが、どうしたら良いですか?ということです。

もしかして、比べてるのは子供同士じゃなく、あんなに素晴らしいママに比べて、私ったら。みたいに、他のママと自分なのかも知れませんね。

それならやりようがあるかも?

嫉妬とかそういう問題もあるのかな?

いかが思われますか?

よろしくお願いします。

 

【中村うさぎの回答】

のまのまさん、私が思うに、あなたはとっても健全なお母さんです。
私は元来、幼児の詰め込み教育には批判的です。
子どもの頃にはもっと他に学ぶべきことがあると思うからです。

たとえば「1+1=2」なんて、幼い頃には知らなくてもいい。
それよりも1個のリンゴが無限に増えていく物語とか、世界で自分がたった1個だと思っていたリンゴが別のリンゴに初めて出会うお話とかを、子どもと一緒に考えていくような、そんな幼児教育を私がお母さんだったらしたいと思います。
幼い子どもに必要なのは、突拍子もない創意工夫や自由な想像力だと思うからです。
「1+1=2」なんてことを先に覚えてしまったら、思考が枠にはまってしまい、そこから先の想像力が広がらなくなるような気がする。
あくまで「気がする」だけですが。

なので、のまのまさんが「子どもらしく走り回って」いる我が子を無理やり机に座らせて勉強させたくない気持ちは、私もひどく共感します。
だって、そんなことしたら、勉強の嫌いな子どもになっちゃうよ。
子どもは放っておいても学びたがる生き物です。
「なぜ?」「どうして?」と訊いてくるのは、知りたいからです。
そして、知りたいことを知った時にこそ、人は「知識を得る喜び」を味わいます。
その喜びを知った子どもは学ぶことに積極的になる。
べつに知りたいとも思ってない知識を無理に詰め込まれるより、知りたいことを知る喜びを体得した子どものほうが、大人になってからの思考力の伸びが違うと思います。

もしも私に子どもがいたら、もっとも伝えたいことは何だろう?

 

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