ARTICLE 中村うさぎの人生相談

  • 何かひとつの意見が「正しい」と信じ込んでしまうことが問題なのですよ。

  • 2017年06月19日 (月)

人生相談のお時間です。
今回のご相談者は「雪」さんです。

 

【お名前】
雪さん

【都道府県】
大阪府

【性別】
女性

【年齢】
22

【ジャンル】
美容

 

【メッセージ本文】
私は綺麗になりたいと思っている女子大生です。
情報集めのため美容ブログや美容雑誌や本などを読むのですが、そういったメディアにはよく、
「女ならみんな誰もが美しくなりたいという願望を持っている」
「女なんだから美しくなるためにお金や労力を割くべき」
「女は美しくいるべき」
こういった言葉が並んでいます。

私はこういった言葉を見るたび、心がずっしり重くなってしまいます。
ただ私も綺麗になりたいと思っていますし、そのためそれなりに努力してますし、あまり努力されてないように見える方を見るともう少し頑張ればいいのに……なんてお節介心が働くのも事実です。

ですが綺麗になりたいと思ってない女性だっていると思いますし、美に向ける努力を他のことに向けたい女性だっていると思います。
女性全員が美しくなりたいと望んでいてそして努力すべきという考えが、私にはとてもプレッシャーに感じてしまいます。
うさぎさんはどうお考えですか?

【中村うさぎの回答】

雪さん、私はあなたのおっしゃるとおりだと思いますよ。
何を人生の最優先事項にしようと、それは個々人の自由です。
性別や属性によって人生の優先事項を他人から決められる筋合いはありません。

ただ、美容ブログや美容雑誌にはたいてい化粧品メーカーや美容関係業者がスポンサーに付いているため、「すべての女性が美容を最優先事項にするように仕向けたい」というプロパガンダ的傾向を持ってます。
だから、あのような口調になるわけですが、それが彼ら彼女らのお仕事なので、私はそこに文句を言う気はありません。
要は、それを鵜呑みにするかどうか、という、こちら側の問題です。

美容に限らず、この世には、このようなプロパガンダが満ち溢れています。
たとえば「母親は子どもを第一に考えるべし」などという言葉もたびたび耳にしますが、私は母親たちが何を優先しようと、彼女たちの好きにさせてやれと思います。
そりゃ子どもを産んだ責任はあるわけですから虐待したりネグレクトしたりするのは論外ですが、何もかも子ども優先であるべきとは思いません。
彼女たちには彼女たちの人生がある。
以前、ある人が託児所のあるパチンコ屋を批判してましたが、私はべつに母親が子供を託児所に預けてパチンコしてもいいと思う。
ご飯も食べさせずに一日中パチンコするのはどうかと思うが(それはネグレクトですからね)、ちょっと息抜きにパチンコくらいしてもいいじゃんか。
車の中に放置して赤ん坊が熱中症で死んじゃうような事故が起きるくらいなら、パチンコ屋が子どもを預かってくれた方が安心です。

 

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