ARTICLE 中村うさぎの人生相談

  • マザコンでなきゃ万事解決とかいう問題ではなく、むしろ夫とは関係のない女の戦いです。

  • 2017年06月12日 (月)

人生相談のお時間です。
今回のご相談者は「マリリン」さんです。

 

【お名前】
マリリンさん

【都道府県】

【性別】
女性

【年齢】

【ジャンル】

 

【メッセージ本文】
3年付き合った彼氏と結婚を考えています。
彼の子とは大好きなのですが、ひとつ引っかかることがあります。
彼は「マザコン」なんです。

お母さんが大好きで、よく言えば母親思いの孝行息子なんですが、彼女の言いなりって感じで不安です。
とりあえず同居ではありませんが、長男なのでいつかは同居になると思います。
義母は悪い人ではないのですが、私と価値観も違うし、同居となるとうまくやっていけるか心配です。
もし衝突した時に、マザコンの彼はたぶん母親の肩を持つだろうし、そうなると私には味方がいなくなってしまいます。
それを考えると今から憂鬱で仕方ありません。

お姑さんのコントロール法とかあるんでしょうか?
または、彼をマザコンから脱却させる方法があれば教えてください。

【中村うさぎの回答】

このご相談を読んで「マザコンって何だろう?」と考えました。
私たちはよく安易に人を(特に男性を)「マザコン」呼ばわりしますが、親に育てられた人で「マザコン」や「ファザコン」でない人なんているんでしょうか?
たとえ親を憎んでいても、それは「マザコン/ファザコン」の裏返しだし、結局のところ、親の影響が皆無の人なんてあまりいないと思います。
特に母と子の結びつきは強く、それは男でも女でも変わりません。
何しろ母親にミルクを飲ませてもらい、抱っこされてあやされ、母親なしでは生きていけない無力な赤ちゃん時代が誰にでもあったのですから。
その頃に己の生存のために必要とした相手に強い親近感と一体感を抱くのは、ある意味、自然なことでしょう。

なのに世間は、「お母さん大好き」な男たちを「マザコン」と呼び、なんだか変態みたいな目で見ます。
女子にもお母さんが大好きで姉妹のように仲良しという人たちはいますが、そういう人たちは「密着型母娘」などと呼ばれるものの、マザコン男ほどには白眼視されません。
どうして男だけが「母親大好き」じゃいけないんだろう?

私の友人にはゲイが多いのですが、ゲイには「母親大好き」な人が多い気がします。
うちの夫もそうだし、マツコもそうだし、他にもいっぱいいます。
彼らは「母親大好き」と言って憚りませんし、実際、年老いた母親にすごく優しくて、お母さんも幸せそうです。
彼らはいわゆる「マザコン」なんでしょうが、そこに何の問題も発生していないので、誰からも批判されないし変態とも思われない。
つまり「母親大好き」男が「マザコン」と呼ばれて非難されるのは、ノンケ男限定の現象みたいですね。
これって不思議じゃないですか。
母親が大好きなこと自体が非難されるべきなら、ゲイだって密着型母娘だって変態扱いされていいばすです。
なのにノンケ男だけ問題視される理由は何だろう?

 

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