ARTICLE 中村うさぎの人生相談

  • その願望を頑として叶えてやらないというのも、なかなか意地悪な戦法ではないでしょうか。

  • 2014年11月07日 (金)

さぁ、始まるわよ!
世界一役に立たない「人生相談」コーナー!

今回は「うにこ」さんからのお悩みです。

 

【お名前】
うにこん

【都道府県】
岐阜県

【性別】 
女性

【年齢】
40歳

【ジャンル】
その他

【相談内容】
うさぎさんこんにちは。
いつもうさぎさんの文章から、気づきと勇気を与えてもらってます。

自分の悩みが相談になるのかならないのか、よくわからないですが書いてみることにします。

わたしは保育園から中学を卒業するまでは、ほぼいじめに遭っていました。 (田舎なので、保育園から中学までほぼ同じメンバーです)
いじめられたのは、わたしがものすごく太っていているのに、絵で描く自分はスリム、なんていう痛さのせいですが、当時はまったく気づかず‥‥‥。

今 わたしは40歳なのですが、ほんの数年前に 中学の頃の夢を見て、泣き叫んだことがあります。
いじめを受けていた、あの教室のあの空気の夢でした。
いじめっ子に笑われている夢、バカにされている夢でした。

起きてすぐ思ったのは、 なぜあの時、いじめた人間を刺しておかなかったのか! という、強い怒りでした。
刺してやりたい、殺して、わたしの目の前から消してやりたい!

こういう感情を、いじめられていた当時、持った記憶はありません。死にたいとは思いましたが。

今年になってから、同窓会を開くとかで、25年ぶりに幹事グループの男子数人とコンタクトをとる機会がありました。

同窓会に来てよ、と彼らは丁寧に誘ってくれました。

わたしは同窓会には参加しませんでしたが、その後もLINEに誘われたりしています。

次の同窓会は二年後にもう決定だそうで、それにも誘われています。

結局わたしが言いたいのは、
彼らと関わるのはすごく怖いけれど、逃げちゃダメなんじゃないのか? ということなのです。

反面、「逃げちゃダメだ」と思うこと自体が、馬鹿馬鹿しいような、「なにを悲壮になっとんねん!」と 自分につっこみたい気持ちもあり‥‥‥‥‥‥。

うさぎさんはどう思われますか。
だらだらと長文を費やしてごめんなさい。

 

【中村うさぎの回答】

うにこさん、結論から申し上げますと、「逃げてもいい」と思います。

会いたくないなら、会わなくていい。

今のあなたには、それを自分で決定する権利があります。
同窓会なんか行かなくてもいいじゃありませんか。
べつに参加義務があるわけじゃなし。

まぁ、あなたもそのことはわかってるんだと思います。
だから、今年の同窓会にも参加しなかった。

ただ問題は、あなたの中のもうひとりのあなたが「逃げちゃダメだ」と囁くことです。
いったい彼女は、何故、あなたに「同窓会に行かなくちゃ」などと促すんでしょう?

それはねぇ、私が思うに、あなたの中で「決着がついてない」からなんじゃないのかな。
数年前にいきなり、いじめられてた遠い昔の記憶が夢の中で蘇り、あなたは当時のいじめっ子たちに激しい憎悪と殺意を感じた。
じつは幼い頃のあなたの中にも、その憎悪や殺意は潜んでいたのでしょうが、あなた自身が脅えるばかりで、自分の憎悪や殺意に気づく余裕もなかった。
大人になってようやく、彼らを許せない自分に気づいたのです。

それは、あなたにとって「成長」なんだと私は思います。

彼らを憎む自分を恥じる必要はない。

 

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