ARTICLE 中村うさぎの人生相談

  • もともと強い意志なんか持ち合わせてない人間だから、依存症なんかになるんですよ。

  • 2014年05月16日 (金)

さて、恒例の「人生相談」。
今回の相談者は、「うた」さん(女性)です。

 

【お名前】
詩(うた)

【都道府県】
神奈川県

【性別】 
女性

【年齢】
30

【ジャンル】
美容

【相談内容】
初めまして。うさぎさんの大ファンの30歳女です。特に「美」に関するご発言やご著書が大好きで、本や雑誌に線を引きまくって読んでいます。

うさぎさんは時々、「美」にまつわる病の一種、摂食障害についても言及されますが、今回はそのことでご相談させて頂きたく、メールをいたしました。

私は大学1年の時(今から12年も前です)、初めて出来た彼氏にフラれたことがきっかけで、ダイエットをはじめました。完璧主義な性格だったので、計画的にカロリー計算をし、ジムに通って運動もしました。すると面白いように痩せていき、156センチで36キロまで落ちました。

ところが徐々にリバウンドし、43キロに。恐怖を覚えた私は、口に入れた食事を噛んでは出すという「チューイング」にハマるようになりました……。以来12年間、チューイングをしない日はほとんどありません。いっときは1日に数千円も使う有り様でした。

事務職OLをしている今も、人間関係や何やらのストレスを理由に、1日500~1000円と上限を決めてしてしまいます。噛んだお菓子やご飯をビニール袋に出していると、安心すらしている自分に気づきます。気持ち悪い光景……。

チューイングはもはや生活の一部で、そのおかげで痩せた身体をキープしていると思い込んでいる部分もあります。普通に食べれば、太ってしまうとの思いが強いのです。

結婚を決めた彼氏もいますが、彼氏には「もう治ったよ」と嘘をつきました。精神科のカウンセリングも受け、少しマシになった時期もありましたが、実際は、完治などしていません。

これが自分の精神安定剤、ダイエットにもいいのよ、と言い訳しながら、今日も大量の菓子類を噛んではビニール袋に吐きました。仕事は楽しいのに、彼氏もいるのに、親にも一応、愛されて育ったのに……どこがストレスで摂食障害になっているのかと、自分でも不思議です。依存症って、こういうものでしょうか。

うさぎさんも買い物依存のご経験があるかと思いますが、どうすれば「依存」から抜け出すことができるのでしょうか。

長文失礼致しました。こんな汚い質問で恐縮ですが、取り上げてくだされば、本当に本当に嬉しいです。

 

【中村うさぎの回答】

うんうん、痛いほどわかりますよ、うたさんのお気持ち。
私は胃腸が弱くて摂食障害にはならなかったけど(ちょっとでも食べ過ぎると、すぐ激しい嘔吐と下痢で大変なことになるんです~)、かつての買い物依存症や現在の美容整形は、摂食障害と非常に近いところにあるからです。そうね、「お隣さん」と呼んでもいいかもしれない。

買い物依存症だった頃の私は、部屋に堆積した洋服の山を見ながら「これって摂食障害の人たちの食べ吐きと同じだなぁー」と思ってました。我慢できずに過剰に買っては、ろくろく着ずに部屋にうずたかく溜まっていくばかり。それって、我慢できずに過剰に食べては、ろくろく咀嚼せずに全部吐いちゃう過食症と、まったく一緒ではありませんか!

当時の私の家の洋服の山は、過食症の人たちのゲロだったわけです。

 

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