こんなことを言うと元も子もないのは重々承知なのですが、皆さんから寄せられたご相談を読みながら、「この人たち、人生の重要事項を私みたいな人間に相談して、本当にいいんだろうか?」などと、ついつい思ってしまいます。
もちろん皆さんは、ご自分の意思で投稿されているわけですから、「この件に関する中村うさぎの意見を聞きたい」と思ってくださっているのでしょう。そう思ってくださることは大変にありがたいし嬉しいのですが、相手はあの「中村うさぎ」ですよ? 買い物だのホストだの美容整形だのに入れ揚げた挙句にデリヘルで働くようなバカ女ですよ? 本当にいいんですか?
とはいえ、自分の身につまされるようなお悩みなど読んでしまうと、やっぱり「お答えしなくちゃ」などと思ってしまう私です。
今回のご相談者「せあら」さんのお悩みは、まさにそんな内容でした。
では、さっそくご紹介しましょう。
【お名前】
せあら
【都道府県】
神奈川県
【性別】
女性
【年齢】
28
【ジャンル】
その他
【相談内容】
はじめまして、こんにちは。
私の悩みをぜひうさぎさんに聞いて頂きたく、メールしました。
私は、うさぎさんと同じで、過去に2年間ホストに貢いでいた経験があり、そのことを過去の回想録としてblogに書いています。
最初は、自分が経験してきた奇抜な事を文字にしないともったいない、という軽い気持ちで始めたのですが、有難いことに読者さんがどんどん増えて、今では毎日2万PVを超え、ジャンル別ランキングでは年間1位を獲得させてもらっています。それで、毎日読者さんから、「貴女のblogのおかげでホストの怖さを知れてホスト卒業できました」、とか、「ホストのために風堕ちするところでしたが、貴女のblogのおかげで救われました」というようなメッセージも頂くようになりました。そうしているうちに、私はだんだんと当初の、”奇抜な体験をメモっておこー”という軽い気持ちから、何だか使命感や責任感、更新しなきゃ!という焦燥感、そして義務感を持ってblogを書くようになりました。うさぎさんみたいにプロの物書きではないですし、それで生計を立てているわけでもないのに、とんだ勘違いですw
あ、これは全くもって自慢ではありませんよ!どうか誤解なさらないで下さい。
というのも・・・世の中、当たり前のことかもしれませんが、人気が出ると、同時に誹謗中傷も多くなります。最近では、前述した読者さんからの嬉しいメッセージだけではなく、心無い罵倒の言葉を浴びせられることも増えてきました。うさぎさんも、ホストに通っていた過去がおありならご存知かと思いますが、ホスラブ、というサイト等では、もう本当にひどいです。じゃあ、blog止めればいいじゃん?ってお思いになると思うのですが、前述した、謎の使命感があって止められず・・・私が自分のバカな過去を赤裸々に晒すことで、1人でも誰かが救われているのであれば、頑張って続けたいと思っていて、でも同時に、誹謗中傷で嫌な思いをするのはもう嫌だとも思ってしまい、日々悶々と考えています。。。
うさぎさんは、私がどうすればいいと思いますか?
また、「そんなの自分で考えろ!」って仰るなら、うさぎさんが誹謗中傷に合われた場合、これまでどう対処されてきたか、何か少しでもいいのでアドバイス頂けたらと思っています。
長くなってしまいすみません(>_<)どうぞ、よろしくお願い致します。
【中村うさぎの回答】
せあらさん、私もまったくあなたと同じです。
最初は「ウン十万円もするシャネルのスーツを着ていながら、水道代も払えずに水を止められた話」とか「住民税も払えずに滞納した挙句、区役所の滞納整理課から差し押さえを食らった顛末」とか、そういうバカバカしくも稀有な体験を、飲み屋で友人たちと「聞いて聞いて! こんなことがあってさぁ~」などと笑い話に興じるような感覚でエッセイに書き始めました。
現在の私がプロのエッセイストなのは、べつにそのエッセイが秀逸だったわけでも何でもありません。ただ、その前からプロの物書き(ファンタジー小説家)だったので、たまたま連載する媒体を与えていただけただけです。せあらさんと私の間には、何の違いもないのです。