中村うさぎの人生相談

親に期待しすぎて恨みつらみを抱え続けると、いつまでも「内なる親」の支配から抜け出せません。

8月からタカナシクリニックのHPでの「ガチブログ」(高梨院長と私の往復書簡的なスタイルのブログ)が再開するので、今週と来週はそれに合わせて「美容整形」をテーマにすることにしました。

まずは「ネコ」さんからのご相談です。

 

【お名前】
ネコさん

【都道府県】
秋田県

【性別】
女性

【年齢】
34歳

【ジャンル】
美容

【相談内容】
うさぎさんへ

いつもはファンレターを送っていますが、今回は人生相談をさせて下さい。

私は自分の顔が嫌いです。
中途半端なブスです。
メイクの努力も虚しく、メイクをすればする程、美人になれない自分に嫌気がさします。
私が自分の顔を嫌ってる理由は、ブスなのはもちろんですが、幼い頃から母に私の顔が嫌いだと言われ続けたことがトラウマになっているのだと思います。
私は母子家庭で育ったのですが、母は機嫌悪くなると毎回のように私に「父親に似ているお前の顔なんか見たくない。父親の所に行ってしまえ」と言いました。機嫌が悪くない時も、「あんたは父親に似て一重だから、大人になったら整形しなさい」と言われ続けました。
二十歳になり、一度は美容整形をしようと思ったものの、失敗が怖くてできませんでした。
そして34歳になった今、今度こそ美容整形をしようと思いカウンセリングに行ったのですが、まだ怖くて美容整形していません。
ヒアルロン酸やボトックスなどのプチ整形は、つい先日初めてやりました。ほんの少し、自分しか気付かない程度でしたが、自分の顔がいつもと違う事がうれしくて、鏡ばかり見ていました。マスクなしでも外を歩ける様になりました。こんな少しの変化で意識が変わるなら、と、ますます美容整形がしたくなりました。
私はメスを入れる本格的な整形を望んでいます。でも、「メスを入れる」。それが怖くて、なかなか踏み出す事ができません。
そもそも私はなんで美容整形をしたいのか。
ブスだから?
父親に似ていると言われ、母親に罵られたトラウマのせい?
そこがはっきりしない限り、本格的な整形に踏み出す勇気が出ない気がするのです。そして、万が一手術が失敗した場合(想像した顔と違うということではなく、医療ミス的な失敗)、それに耐えられる精神力もありません。

うさぎさん、私は美容整形をすべきだと思いますか?それで私のコンプレックスは解消されると思いますか?
ちなみに、私は少し醜形恐怖症も入っていると思います。
是非アドバイスをお願い致します。

 

【中村うさぎの回答】

えーと、基本的に私は「美容整形」賛成派です。
美容整形は手っ取り早く自己評価を上げるにはもっとも有効な手段だと思うからです。

むろん、美容整形によって根源的な「自分嫌い」や「自己評価の激しいアップダウン」といったメンタルやパーソナリティ障害的な問題は、まったく解決しません。
美容整形は万能薬ではありません。
短期的な頭痛止めのような対症療法にすぎず、頭痛の原因である脳腫瘍が治るわけではないのです。

ただ、根源的には解決しなくても(精神科医だって根源的な解決なんかできないんだし)、少なくとも一瞬だけでも自分嫌いの痛みから解放されることは確かです。
そして、その「一瞬」は、そうそうバカにしたものでもありません。
ネコさんも、プチ整形をした後に自分の顔が変わったのが嬉しくてずっと鏡を見てたとおっしゃってますね。
それなんですよ。

その「一瞬」があなたを救っているのは確かなんです。

そして、その「一瞬」が人の精神を組み替えてくれるような奇跡も、たまには起きる。

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中村直腸の裏話 2015.08.28【Vol.65】

ゴクドーくん漫遊記」と「ゴクドーくん漫遊記外伝」のファンの方々へ向けて、最終回にして土下座して謝る直腸先生(笑)

「中村直腸の裏話」

直腸先生、「ゴクドーくん漫遊記」を語る
動画はコチラ
http://bit.ly/2CM4Ica

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中村直腸の裏話 2015.08.21【Vol.64】

出版社のお家騒動で「ゴクドーくん漫遊記」と「ゴクドーくん漫遊記外伝」を別の出版社から出版する事になったお話。

「中村直腸の裏話」

直腸先生、「ゴクドーくん漫遊記」を語る
動画はコチラ
http://bit.ly/2CM4Ica

中村うさぎの人生相談

彼に復讐したいのではなく、彼の恋人に復讐したいのはただの嫉妬です。復讐と名付けて正当化しているだけ。

人生相談のお時間です。
今回はなかなか深い考察を必要とされる質問で、私のようなボンクラに答えられるのだろうかと不安になりましたが、とりあえず興味深い問いかけなので精一杯頭をひねってみたいと思います。

ご相談者は「ゆう」さんという女性です。

 

【お名前】
ゆうさん

【都道府県】
東京都

【性別】
女性

【年齢】
32歳

【ジャンル】
恋愛

【相談内容】
はじめまして。20歳の頃に初めてうさぎさんの書籍を読んで感銘を受けて以来10年以上に渡り愛読し続けています。うさぎさんのメルマガが届く金曜日がいつもとても楽しみです。

私には現在、復讐したい相手がいます。相手は付き合っている女性がいるにもかかわらず、彼女はいないと偽り私と関係を持った男です。

最後にその男に会ったときに自分の怒りを全て言葉にして相手にぶつけましたが、それだけでは気が収まらず、彼女に浮気の件を告げ口してやりたいと思うようになってしまいました。このことを友人に話すと決まって「そんな男はいつか必ず痛い目に合う。仕返しなんかしてる暇があるならもっといい男を探しなさい。」という答えが返ってきます。しかし私としては今痛い目に合わせてやりたいので、いつか第三者が痛い目に合わせてくれるだろうと自分に言い聞かせることでは自分の気持ちを静めることができません。

ただ私としても復讐することに多少の抵抗があることも自覚しています。自分の気持ちにためらいがなければ友人に相談したりせず行動を起こしていることでしょう。

復讐してやりたい自分がいる一方でブレーキをかけようとする自分も存在するその理由が分かりません。子供の頃から親や学校の先生から刷り込まれた価値観に支配されている為なのでしょうか?(子供の世界では悪さを仕掛けた方も、それに応戦した方も大人から罰を受けるので、多くの人が仕返しという行為は仕返しをされるきっかけとなる行為と同等に罪であるという価値観を植え付けられているような気がするのです。)

ためらいを感じている時点で復讐という行為に否定的な考えが自分の中に存在しているのは明白です。しかし「復讐は愚かな行為である」と断言できる論拠も自分の中に存在していないのです。

そこでうさぎさんのお考えを伺いたいのです。うさぎさんは「復讐」という行為に対してどのような考えをお持ちですか?また私の行動に歯止めをかけるブレーキの正体はなんだと思いますか?

 

【中村うさぎの回答】

誰かに何かされたらやり返してやりたいと思うのは、至極普通の感覚だと思いますので、私は基本的に「復讐はいかん」とは思いません。
幼い頃に周囲の大人たちが「復讐はいかん」と教え込んだのは、おそらく復讐が復讐を呼んでエスカレートし、際限のない「復讐の連鎖」となることを憂慮してのことでしょう。

まぁ、それはそれで大人の理性的な意見ではありますが、やられっぱなしの側のはらわた煮えくり返る感はどう宥めればいいのかという問題の答えにはなってませんね。
彼らはおそらく「時間が解決する」と言うでしょうが、そんなら相手はやりたい放題じゃないか、という気もします。
ぜひとも自分の手で制裁を加えてやりたい……その気持ちはよくわかりますよ。

たとえばそれは「死刑廃止」問題にも通じると思います。

死刑廃止」を主張する人たちに対して私がどうしても疑問に感じるのは「それじゃ、ひどい殺され方をした被害者の遺族の気持ちはどう償ってもらうのか」です。

 

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シャーリーズ・セロン主演の「マッドマックス」を観に行った。 まぁ、ひと言で言えば「つまんねー」であった。

本日18:00配信の中村うさぎオフィシャルメールマガジン「中村うさぎの死ぬまでに伝えたい話」の週刊文春から続く人気コーナー「女王様のご生還」にて、シャーリーズ・セロン主演の「マッドマックス」を映画鑑賞された話をされています。

 

── 2.女王様のご生還 ──

 前回、リスペクトする女優として「シャーリーズ・セロン」の名前を挙げた。
 以前にも書いたと思うが、彼女を単なる美人女優だと思っていた私は、「モンスター」を観た時に、その評価を劇的に変えさせられたのである。

 役のために肥るのはべつに彼女に限ったことではないが、その変貌ぶりには驚かされた。
 あんなにブスで荒んだ中年女になりきれるとは思わなかった。
 容貌だけじゃない、その無教養で育ちの悪さが丸見えで、だけど妙に一途で懸命で、愛と憎しみと哀しみを漂わせる連続殺人鬼像を彼女は見事に演じたのだ。

 それ以来、私はシャーリーズ・セロンにリスペクトを抱いているのだが、このたび、その彼女が主演の「マッドマックス」を観に行った。
 本来は「うさぎ図書館」に書くべき内容なのだが、そちらはしばらく「アドルフに告ぐ」のインタビュー動画を配信するので、このコラムで書くことにする。

 まぁ、ひと言で言えば「つまんねー」であった。
 いや、これはあくまで私の好き嫌いの問題である。

 

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