中村うさぎの人生相談

そもそも人間なんて欠落や過剰だらけで不完全きわまりない存在なんだ。

人生相談のお時間です。
今回のご相談者は「かーてん」さんです。

 

【お名前】
かーてんさん

【都道府県】

【性別】

【年齢】

【ジャンル】

 

【メッセージ本文】
周囲をみると、恋愛の幸福感のほとんどは「自己肯定感」というのは納得です。
好きになってくれる相手や交際相手がいるということで、自分を肯定してくれる人がいるという安心感を味わえるということですね。

私は自己肯定感が低く、自分の人間性や人生を肯定することができません。「自分なんかを好きになってくれるなんて、本当の自分を知らないに違いない。」「自分はだれにも愛される価値はない。(これは言い過ぎですが……)」と心の何処かで思っています。口には出さないようにしていますが。

恋愛や交際をしても自己肯定感を抱くことができるようになるどころか、相手がいることで自己肯定感の低さを普段よりも顕著に感じてしまい狼狽してしまう自分がいます。
また、自己肯定感をもつことで傲慢になってしまうんじゃないか・他者を思いやれなくなってしまうんじゃないか・周りの人を傷つけてしまうんじゃないかという恐怖があることを認めます。
自己肯定感が低いというよりも自己肯定をしたくないという状態なのかもしれません。

自己肯定感の低さゆえに「見捨てられてしまうんだろうなあ」と何処かで諦めてしまっている側面もあります。見捨てられる恐怖や傷つくことを過度に恐れている状態です。(この状態は母に対する父の態度をみて、父と似てしまっているなあと思います。)

これらの恐怖心を乗り越えないと、恋愛を楽しむことはできないように思いますが、うさぎさんはどう思いますか。

【中村うさぎの回答】

自己肯定感が低くて恋愛にも自信が持てない、という人はたくさんいます。
まぁ、自己肯定感なんて、確かにそうそう持てるものではない。
他人と比べると自分の欠点や足りない部分が際立って見えるものだし、ましてや恋愛相手が自分より遥かに眩しく見える時などは劣等感ばかりが刺激されて「こんな自分はふさわしくないのでは」とか「いつか嫌われてしまうのでは」などと脅えてしまうのですね。
その気持ち、私にもよくわかります。
私も若い頃は恋愛相手に自分を良く見せたくて背伸びをしたり、その背伸びさえうまくいかなくて落ち込んだり、そりゃもう嫌われないためにヘトヘトになるほど右往左往したものです。

でもね、かーてんさん、この年になって私はしみじみ思うのです。
自分を変えることなんてできないんだ、と。
欠点のない人間になんかなれない。
欠点をカバーするよう努力することはできるけど、欠点自体がなくなるわけじゃないし、そもそも人間なんて欠落や過剰だらけで不完全きわまりない存在なんだ。
それは自分だけでなく、眩しく見える他人だって恋人だって同じこと。
人間は欠けたピースだらけのパズルで、どこにもうまく嵌まらない歪んだピースもいっぱいあって、それがナチュラルな姿なのだということを認めなければ、私もあなたも一歩も前に進みません。

 

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4月トークイベントの先行予約受付開始のお知らせ。

第9回中村うさぎ単独トークイベント「うさぎのメルマガオフ会」の日程が決定いたしました!

本日18:00に延期配信の旨をお伝えするメールマガジンの文末に、メルマガ会員様限定の先行予約の受付開始の旨も併せて、明記させていただいいておりますので、ご確認ください。

トピックス (最新情報)

明日3月10日 18:00配信のメルマガ延期配信のお知らせ。

明日18:00のメルマガ配信ですが、中村うさぎさんからの原稿が間に合わない為、2017年3月13日(月)に延期配信となりました。

中村うさぎさんからのメッセージ:
「すみません!昨日具合悪くて1日寝込み、今日はこれから夜までトークイベントのゲストなので、原稿書く時間がありません。メルマガ、月曜日に遅らせてください!」

当メルマガを楽しみにされていた会員の皆様、誠に申し訳ありません。
宜しくお願い致します。

中村うさぎの人生相談

あなたに相談するお客さんたちも、「あなたの言葉」を聞きたいのだと思います。

人生相談のお時間です。
今回のご相談者は「ゲイママ」さんです。

 

【お名前】
ゲイママさん

【都道府県】
東京都

【性別】
男性

【年齢】
40

【ジャンル】
仕事

 

【メッセージ本文】
ゲイバーでママをやってる者です。
こういう仕事してると、お客さんから人生相談とか恋愛相談とかされる機会がめちゃくちゃ多いんですけど、いつも悩んでしまうのです。
水商売なので、本当のことをズバリと言うよりも、相手の言って欲しい言葉を言ってあげるようにしてるんですけど、はたしてそれでいいのか、とか。

最近はメディアを見てゲイバーに来るノンケの男女が多いんですが、そういう人たちってマツコやミッツの影響なのか、みんな『ゲイに叱られてみたい』という願望を持ってるわけです。
だから期待に応えて『あんたのここがダメなのよ!』とか大袈裟に叱ったりもするんですけど、心の底から言ってるかというと、やっぱり接客業なので本心ではないんですよね。

特にノンケから不倫の相談なんかされて『人前で堂々と付き合えなくて辛い』なんて愚痴を言われると、心の中で『何言ってんのよ! 私なんかホモだから、人前で堂々と手を繋いだりイチャイチャすること自体があり得ないのよ! たかが不倫くらいで何をゴチャゴチャ言ってんの。その気になれば人前でイチャイチャできる身分のくせに!』なーんて思ったりするんですが、そこは口に出さずに『大変ねぇ。かわいそう』などと言ってる自分がいるわけです。

一番面倒くさいのは『誰にも言わないでね』という条件付きの相談です。
共通の知り合いがいて、その相手にも秘密にするわけなので、かなり精神的な負担が大きいです。
でも、もちろん約束したのですから、私は秘密を守ります。
ところが、そういうことを言う人に限って、自分の秘密を他の人にもペラペラ喋って、最終的に公けになっちゃうんですよね。
しかも『ママにもずっと前から相談してたの』なんて言うもんだから、私がじつは知ってて誰にも言わなかったことまでバレちゃって、結果、共通の知人を裏切ったかのような印象を与えてしまう。
なんだかなぁ、と思いますが、それも『水商売あるある』なんでしょうね。

でも、正直、そんなママ業にも疑問があるというか、好きでやってる仕事なんですが、これでいいのかという自問自答が常に頭の隅にあります。
客の悩みにどこまで真摯に向き合うか、店の売り上げだけを考えて適当に喜ばせておけばいいのか……どう思われますか?

【中村うさぎの回答】

私は水商売の経験も少ないし、そもそも水商売に向いてないので、的確なアドバイスができるかどうか、わかりません。

ですが、もし私が店ママなら、客の相談には本気の言葉しか返さないと思います。
というのも、その人たちが何を求めて私に相談するのか……まずは、そこから考えるからです。
自分の聞きたい言葉を言ってもらうだけなら、わざわざ金払って飲みに来てまで相談するでしょうか?
そんな言葉なら、周りの友だちがいくらでも言ってくれますよ。
私に相談するからには、正真正銘、偽らざる「私の言葉」を聞きたいからだと解釈します。
だから、私も他の誰でもない「私の言葉」で答えるのです。

おそらく、あなたに相談するお客さんたちも、「あなたの言葉」を聞きたいのだと思います。
いい気持ちにして欲しいのではなく、真摯な言葉を求めているからこそ、ノンケのくせにわざわざゲイバーなんかに来るんじゃないでしょうか?
お世辞が欲しければ、ゲイバーには行きません。
あなたもおっしゃっているとおり、世間一般の人たちはゲイに「厳しいけど愛のある毒舌」を期待している。
そこらへんの飲み屋の女将と同じ言葉を求めてはいない、ということです。
「相手の聞きたい言葉を言ってあげるのが水商売」とあなたは考えているようですが、それはただの水商売一般の話で、ゲイバーという特殊な水商売には必ずしも当てはまらないと私は思います。

 

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「中村うさぎの人生相談」延期配信のお知らせ。

本日配信のメルマガの「中村うさぎの人生相談」でございますが、中村うさぎさんからの原稿が間に合わない為、明日2017年3月7日(火)に延期配信となりました。

楽しみにされていた会員の皆様、明日までお待たせする事になり誠に申し訳ありません。