ARTICLE 中村うさぎの人生相談

  • 大切なのは「覚悟」なんです。あなたはイタいおばちゃんになりますか、それとも恋愛を諦めますか?

  • 2015年04月24日 (金)

人生相談のお時間です。
今回の相談者は「パンダ子」さんです。
中村にとっては、なかなか身につまされる内容でした。

 

【お名前】
パンダ子さん

【都道府県】
東京都

【性別】
女性

【年齢】
52歳

【ジャンル】
恋愛

【相談内容】
うさぎさん、こんにちは。いつもメルマガ楽しみに読ませていただいています。きれいごとではなく現在闘病中の辛さも書いてくださり、いつも身をけずるようにして本音を読者に語ってくれるうさぎさんの文章に勇気をもらっています。

私は52歳でバツイチの女性です。私の悩みとはここ数年、年下、それもかなり年のはなれた男性にしか魅かれなくなってしまっているということです。今は通っているスポーツクラブのトレーナー(20代前半)に恋しています。もちろん、思いを打ち明ける勇気などあるはずもなく、たまに言葉をかわすだけでドキドキしたり、相手を目で追ってときめいたりしていました。相手も私に(客としてだけかもしれませんが)好意をもっていたように思います。よくフロアで楽しく会話していました。ところが先日彼と親しく話していると顔なじみのおばさんがきて、私の実年齢と子供がいる(大学生の子供がいます)事実をばらされてしまいました。彼も明らかに驚いた表情があり、その後少しひいているような感じがあります。
私のほうもそれ以来、つらくて悲しくて、もちろん
50代で子持ち、それが私の現実なのですが彼への恋心が断ち切れず、苦しんでいます。自分でも30近く年下に恋するなんてクレージーだと頭ではわかっていて同年代や年上に目を向けようともしましたがどうしても50代以降の男性はおじさんに見えてしまい、男性として魅かれないのです。玉砕覚悟で彼に思いを告げてだめならだめできっぱりあきらめた方がいいでしょうか? 私は見た目には気を使っており、お世辞も入ってるかとは思いますが綺麗とたびたび言われます。が、所詮50代女性にしてはわるくない、という
レベルであり、若い女性に対抗などできないこともわかっています。
私は10年前に離婚してからは子育てと仕事に集中してきたので恋愛はほとんどご無沙汰でした。結婚前も恋愛経験は少ないほうです。そのため恋愛に関してはやり残し感もあるのかもしれません。
ただもう女性としての賞味期間もあとわずかとなり、
(不毛な恋愛となるであろう)若い男性にうつつを抜かすより、再婚の可能性が1ミリでもある同年代~年上に目を向けたほうがいいのでしょうか?

長文になってしまってすみません。
もしうさぎさんがお答えくださるならとてもうれしく思います。

ここ数年うさぎさんの著書の数々にどれだけ励まされ
共感と慰めを得てきたことか、本当に感謝しています。今、ステロイドの副作用で本当にお辛い状況にあるうさぎさんにとても軽々しく頑張ってなどとはいえません。ですが生きて何等かのメッセージを発してくださっているだけで勇気をいただいているものがいます。どうか無理なさらないでください。でも可能な範囲で書き続けて下さい。いつまでも待っています。

 

【中村うさぎの回答】

若い男にうつつをぬかすより、再婚の可能性のある年上男性に目を向けるべきか……という質問に対しての私の答は、

「無理っしょ」

これであります。
そんな器用なことができるなら、あなたはこんなに苦しんでません。

そもそも恋愛やセックスの対象を選ぶ時に発動する「好み」というのは、理性だの何だのではコントロールできない生理的かつ無意識(非言語)的なものであり、誰が何と言おうと動かしがたいものなのです。

世の中には父親くらい年上のおっさんじゃないとダメな人もいるし、あなたや私のように息子くらいの若い男にしか惹かれない人もいます。
そして、そんな自分の好みを、我々は言葉や理屈で解決することができません。
まだ自分が若さに執着しているから若い男が好きなんだとか、ファザコンだからおっさんが好きなんだとか、いろいろと理屈をつけることは可能ですが、説明したからといって好みが変わるわけではないからです。

なので、この際、「より現実的な相手に目を向ける」などということは諦めたほうがいいでしょう。
これからもずっと、あなたは若い男に恋しては、自分の年齢やら容姿やらにコンプレックスを抱き続け、同じ苦しみを何度も味わうことでしょう。

でもさ、それは仕方ないじゃん。
この世にはロリコンと呼ばれる「幼女にしか発情できない人」もいて、彼らもまた自分の性癖をどうすることもできず、私たちより何倍も不可能性の高い欲望に苦しんでいる。
彼らの場合、自分の欲望を満たしたら、その瞬間、犯罪者ですからね。
彼らに比べれば、私たちの「若い男好き」なんて、まだ何とかなりそうなもんです。
ていうか、何とかしていくしか方策はありません。

 

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