ARTICLE 中村うさぎの人生相談

  • 「女であること」は、もっともっと豊穣で奥深いものなんですよ。

  • 2014年08月14日 (木)

世界で一番役に立たない人生相談のお時間です。
さぁ、今回も、びっくりするほど役立たずだぞーっ!
てか、私、これまでの人生で、誰かの役に立ったことなんてあるんだろうか……?

さて、以下は「ぶるうす」さんのお悩みです。

 

【お名前】
ぶるうすさん

【都道府県】
滋賀県

【性別】 
女性

【年齢】
45歳

【ジャンル】
その他

【相談内容】
はじめまして。
 私は2年前に乳がんが見つかり、手術・抗がん剤を終えて現在服薬中です。私が気になるのは乳がんそのもののことよりも、抗がん剤治療以来、副作用で43歳で生理がなくなってしまったことです。
 
 命が助かったのだからそういうことは大したことではないと思われるかもしれませんが、うさぎさんの著作にも幾つか書かれていると思うのですが、女性にとって閉経って、かなり重要なことだと思います。私の場合、年齢的なものでなく、抗がん剤によるものですが、生殖能力がないのには変わりありません。
 
 現在、特に更年期障害で苦しんではいないのですが、それでも「自分はもうババアだ」との思いが心の底にあって、そのことは自分がガンであるということよりもずっと重荷になっています。
 
 うさぎさんが私より10歳以上年上で、しかも重大なご病気をされているのに、相変わらずおしゃれでパワフルなので尊敬しています。できましたら私に、自分を女性として見放さないコツみたいなものを伝授してください。

 

【中村うさぎの回答】

ふむ。
たしかに「閉経」は、女にとって重大事件ですね。

ですが、私は自分が閉経したと判明した瞬間、「やっほー! これで長年の面倒くさい生理から解放されちゃうぜ!」と、むしろ歓迎の気持ちで受け止めてしまいました。

だって、考えてもみてくださいよー。
我々は「生理」なんかのせいで、どんだけ不自由な思いを強いられてきたことでしょう。
旅行の計画なんかも生理の周期に左右されちゃうし、何より生理中はお腹が痛かったり身体が重かったりして憂鬱だし、出血がひどい時は(私は子宮筋腫だったので、出血量がハンパなかったです)洋服を汚してしまうのではないかと気が気じゃない。

こんなもの、さっさとなくなってしまえばいいのに!」と、何度思ったことでしょう。
そして何より、閉経したら、妊娠の心配もせずにセックスをナマで楽しめる(←病気は防げませんけどね)!
元より子どもなんか欲しいと思ったことないから、子を産むための機能である生理は、私にとって邪魔なお荷物でしかなかったのです。

なので、閉経を宣告された瞬間は、傷つくどころかむしろ「ラッキー!」とポジティヴに受け止めました。
子ども産む機能なんかなくなったって、私は相変わらず女である。
その証拠に、男と相変わらずセックスしまりだもんねー!

そう、これは「女とは何か」とう定義の問題です。
男の性的対象である」ことが「」であることなのか、「子を産む機能を持つ」ことが「」の証と考えるのか。
どちらが定義として正しいわけでもない。
これは自分自身で決めることです。

で、私は断然、前者派だったので、生理がなくなったからって自分が「女でなくなった」なんて、露ほども考えなかったわけですね。
セックスや恋愛の市場で現役である限り、私は自分を「」だと思える。
私が「」でなくなるのは、男に相手にされなくなった時か、あるいは自ら性欲を失って恋愛市場から降りる気になった時……そんなふうに思ってました。

ところが、しばらくして、私はふと感じたのです。
たしかに私は子どもなんか産む気ないし、生殖機能が失われても一向に構わないのだが、それはあくまで私の自由な選択に任されていた事項であって、閉経した今となっては自由もクソもない。
つまり、閉経によって私は、「産まない女」から「産めない女」に変わったのだ。

あらやだ、なんか悔しい―――っ!!!

 

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