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トピックス (最新情報)

中村うさぎ 読売新聞掲載のお知らせ

2014年1月9日発行『読売新聞』内の、「悩める女性へ 人生案内100年」で中村うさぎが掲載されました。
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中村うさぎの人生相談

中村うさぎの人生相談第二弾

今回は、「まり」さんという女性からの、このようなご相談。男性の方が読んだら「なんだ、この女!」とムッとしてしまうかもしれませんね。

でも、だからこそ、この相談を取り上げました。
 
私の意見に賛同できない方も多いかと思いますが、ご一緒に考えてみてください。

 

【コメント登録日】
2013年11月06日 21:52

【相談者】
まりさん

【相談内容】
はじめまして!
私は大学3年生です。中村うさぎさんを知ったのは大学1年生の時、ブックオフで立ち読みした時に中村うさぎ さんの書く文章が好きになりました。それから、中村うさぎのひそかなファンになって本を読み続けています。
今回、初めて中村うさぎさん宛に書くので緊張します。
人生相談のネタ募集ということで、私が友達にも彼氏にも家族にも馬鹿らしくて言えない相談をします。
私は高校生に援交をやってきて、大学1年生の時は愛人になったり、クラブで働いたりしてきました。今は、真 面目に大学で単位を取る為に勉強していますが、恋愛となると、現在付き合っている彼氏もATMとしてしか見 れません。彼氏なのにセックスをタダでするのがもったいないと感じてしまいます。好きな人ですら、お金と交 換なんです。こんな世間から弾き飛ばされる考えを持っている私の心の奥底には何があると思いますか?
入院中なのに変な相談を許して下さい。でも、中村うさぎさんだからこそ相談したかったんです。

 

【中村うさぎの回答】

まりさん、あなたは私と正反対の考え方の持ち主ですね。

私は「女の自立」を目標に生きてきた世代の人間なので、あなたのように男の経済力をアテにしたことがありません。

でもね、私のこの「男女平等思想」が絶対的に正しいかというと、そういうわけでもないと思います。

単に私は、フェミニズムが台頭してきた時代環境に洗脳されているたけなのです。

 

そう、我々の価値観や世界観なんてぇものは、環境による洗脳に他なりません。

若い頃から愛人やホステスといった職業をやっていると、周りにもそういう人たちが多いでしょうから、知らず知らずのうちに環境によって洗脳されてしまい、すべての男の顔が「福沢諭吉」にしか見えなくなってしまっても仕方ありません。

だから、私はまりさんの価値観が間違ってるなんて露ほども思いませんよ。

それはそれでいいんじゃないんでしょうか?

何か正して何が間違ってるというような問題ではない。

それぞれが自分の価値観で生きていけばいいのです。

あなたは自分の価値観を「世間から弾き飛ばされる考え」と言っていますが、べつに世間が非難しようと弾き飛ばそうとしようと、関係ないじゃありませんか。

世間は他人のことをあれこれ言うのが好きなだけで、あなたと正反対の生き方を選んだ私だって、やれ「生意気」だの「腐れフェミ女」など、世間からクソミソに言われてますよ。

どんな生き方をしたって、世間は黙ってない。

なら、世間なんて気にする必要はないのです。

しかもタチの悪いことに、世間というのは、あなたの人生に責任なんか取ってくれません。

たとえばあなたが世間に非難されたくなくて、彼らの言うとおりに生きて、その結果、自分らしく生きられなかったことを後悔する羽目になっても、世間があなたを助けてくれることなんて絶対にないのです。

そのような無責任な世間に迎合する必要があるでしょうか?

あなたはあなたらしく、自分の思うように生きなさい。それでいいのです。

 

ただひとつ、私が気になるのは、あなたが男の経済力に頼り切って生きてきた自分に不安を抱いているように、文章から受け取られることです。

世間云々はともかく、あなたは自分自身のこれまでの生き方に自ら疑問を感じているのではありませんか?

だから「世間」なんてものを持ち出して、本当の不安から目を逸らそうとしているのではないだろうか?

確かに、女の賞味期限は短い。

男の経済力に頼って生きていけるのは、若いうちだけです。

これから年を取って30代40代になればなるほど、女の商品価値は下落し、どんどん不利になっていきます。

まぁ、30代くらいならまだ「若さ」より「エロさ」を武器にして相変わらず愛人ライフを送っている人たちもいますが、それには武器を持ち替えなくてはなりません。

ただ若いというだけで甘えていては、エロくも何ともないただのオバサンになってしまいます。

名子役がなかなか大人の名俳優になれないのと似てますね。人間、努力が必要なのですよ。

それに、30代では「エロさ」が通用しても、40代になったらそれも厳しくなってくる。

まぁ、世の中には「熟女好き」なんて男性もいるにはいますが、そんなのは少数派です。

マニアだけを相手に食っていくには、よほどの修練が必要でしょう。やっぱり、人間、努力なんですねぇ。

 

今のまりさんには、ふたつの選択肢が残されていると思います。

このままの路線で努力を重ね、40代50代になっても大物の男を手玉に取り続ける人生を全うするか、思い切ってここで路線変更して「普通の女」になってしまうか。

 

どちらも、「こっちが正解」などとは言えません。

人生には「正解」なんてないからです。

 

我々にできることは、自分が選んだ道を「正解」にするよう努力することだけです。

どちらの道を選ぼうと、まりさんが自分の生き方を「正解」だったと思えるような、悔いのない人生を選ばれることを祈ってます。