ARTICLE 中村うさぎの人生相談

  • 恋愛も別れも、汚れてナンボです。

  • 2017年05月01日 (月)

人生相談のお時間です。
今回のご相談者は「メロン」さんです。

 

【お名前】
メロンさん

【性別】
女性

【ジャンル】
恋愛

 

【メッセージ本文】
わたしは初めて付き合った人と3年で別れました。
最後の1年ほどは、遠距離になって年に数回しか会えなくなり、お互いに気持ちが離れていきました。

「これでお別れにしよう」と数ヶ月ぶりに会った時に、なんと避妊に失敗し、緊急避妊薬も使いましたが、妊娠していました。
パニックになり、相手と話し合いましたが、最終的には「もう責任は取れないし終わりにしたい」と言われ、ひとりで中絶手術を受けました。
それからは一切連絡を取っていません。

中絶という命を奪う選択をせざるを得なかったことは、今でも本当に苦しくて悲しいです。
初めての恋愛がこんな最悪の形で終わってしまったのは、避妊の知識が足りなかったということはもちろんですが、それほど本気で好きではないのに安易なセックスしたせいだと思います。

でも頭ではわかっていても、最初は相手が大好きだったはずなのに、何故こんな風に終わらなくてはいけなかったのか?という答のない疑問がぐるぐる頭をまわります。
恋愛に別れはつきものだとしても、しっかりお互いに成長し合って、敬意を持って別れられる人たちもいます。
3年も付き合っていたのに、残ったのが敗北感と傷だけというのが虚しいです。
恋愛というものをどう考えたらいいのか、わからなくなってきました。

【中村うさぎの回答】

メロンさん、大変でしたね。
中絶は女にとって苦しい選択です。
さぞかし罪悪感や自己嫌悪に打ちのめされているのでしょう。
でも、他に選択の余地はなかったのです。
これはもう仕方ないと吹っ切るしかありません。
どうか、自分を許してあげてください。
そして、今後は避妊をきちんとすればいいのです。

さて、あなたの文中で、気になる箇所がひとつあります。
「しっかりお互いに成長し合って、敬意を持って別れられる人もいます」という一文ですが、私の知る限り、そんな綺麗な別れ方のできる人はほとんどいません。
たいていは傷つけ合ったり憎み合ったり、そりゃもう修羅場というやつです。
中にはそういう大人な別れ方をする人もいるでしょうが、もしかすると本人がそう思っているだけで相手は内心どろどろに恨んでるかもしれないし、とりあえず表面を取り繕ってるだけなのかもしれない。
だからまず「お互いに成長して敬意を持って別れる」なんて綺麗事を信用しない方がいいし、そんなのを「理想」とする必要もありません。

恋愛も別れも、汚れてナンボです。
何故なら、恋愛こそが自分の一番醜い部分に向き合えるチャンスだからです。
私たちは、己の醜さに対峙しない限り、永遠に成長しない。
綺麗事を求めている限り、限りなく上っ面の人間になっていくのです。

 

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