ARTICLE 中村うさぎの人生相談

  • 「好きなこと」と「得意なこと」が違う人は多い。

  • 2015年10月16日 (金)

人生相談のお時間です。
今回は「モピオン」さんのお悩みです。

 

【お名前】
モピオンさん

【都道府県】
埼玉県

【性別】
男性

【年齢】
26歳

【ジャンル】
仕事

【相談内容】
26歳のゲイです。仕事についての相談です。

僕は中学生の頃から車のデザイナーになりたかったので美大に進学し、車のデザインを学ぶコースに進みました。
ですが、その時には車やデザインに対する自分の価値観が気付かぬ間に変わっていて、周りの人と比べるとマニアックな価値観となっていたようです。
世間的にウケが良い物をなかなか素直に良いと思えなくなっていました。

とは言え、デザイナーは企業や顧客のニーズに応える事も大きな役割の一つだと思い、自分の好みはさて置き教授(学校だと教授が顧客の役目だったりします)の顔色を伺いながらウケの良さそうな物を作るも、自分が乗り気で作ったものではないし中途半端でイマイチ。逆に自分が作りたいものを作ってみてもマニアックでウケが悪い、という状態が続きました。

次第に、お金を稼ぐには自分のやりたい事をガマンしないといけない、でもガマンしてまで車のデザイナーをやる事に意味があるのか分からなくなってしまい、悶々としたまま車のデザイナーになる事なく卒業を迎えました。

大学卒業後3年が過ぎ、今は縁あって広告デザイン関係の現場で下働き中です。
車のデザイナーになれなかった事を後悔はしていないのですが、大学時代に悩んだ事を未だに引きずっているのと、今後自分がどうしたいのか等の目標が全く定まらないまま、とりあえず今目の前にある仕事に集中しようとしているところです。
何か目標に向かって集中して働く同年代を見ると、羨ましく思ったり自分が情けないと思ったりします。

仕事や自分自身に過度な期待をしているうちは何をやっても上手くいかないと思うのですが、次のステップへ進むためのアドバイスや、うさぎさんがOLから文筆業へ仕事が変わっていった時のお話など聞かせて頂けたらありがたいです。
よろしくお願いします。

 

【中村うさぎの回答】

私がOLからコピーライターになったのは、コピーライターを夢見ていたからではなく、OLがめちゃくちゃ向いてなかったからです。
ただでさえ数字が苦手なのに、毎日毎日伝票整理でウンザリでした。

で、高校時代の友人に電話で愚痴ってたら、その友人が「あなたは昔から作文とか得意だったんだから、文章書く仕事に就けば?」というアドバイスをくれました。

確かに私は小学生の頃から作文が得意でした。
べつに文章を書くのが好きなわけではなく、単に得意だったのです。
学校の先生がどんなことを書いて欲しいのか、どう書けば感心するのか、ちゃんと心得ているような嫌な子どもでした。

あなたの立場に置き換えれば、「どんな車を作って欲しいのかわかってる」ということです。

 

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