ARTICLE 中村うさぎの人生相談

  • 「親バカ」と、「親嫌い」、一見真逆のようではあるけれど、じつは同じ根っこを持っているのです。

  • 2014年10月03日 (金)

毎度~!
誰の役にも立たない「人生相談」のお時間でーす。
今回の相談者は「天使」さんです。
ではでは、さっそく……。

 

【お名前】
天使さん

【都道府県】
兵庫県

【性別】 
女性

【年齢】
51歳

【ジャンル】
家庭

【相談内容】
割り切り方について教えて頂きたく存じます。よろしくお願いいたします。
うさぎさんは虚言癖のある方が好きだと書かれていますが、私も虚言癖のある男が大好きというより、見下してふーんふーんと言ってもっと辻褄の合わない嘘を付かせて、こいつバカと軽蔑するのが大好きです。相手もこれ位で騙されてるのかバカ女と思っていますが。私が相手をとことんバカにしたい癖は父親にあると思います。父は虚言癖の持ち主で嘘泣きもしますし、西宮の議員のように窮地に陥ると本気泣もします。そして歪みも感じます。今ではサイコの一種では?と感じている次第です。
ここからが相談なのですが、本当に嫌いで同席すると気分が悪くなるほど嫌なのですが、そして心底見下していますが、父親だけは他の男と違って、虚言に触れたり逆ギレされると、コイツ殺したる!と私も少しイッテしまって、そして冷静にはなりますが、それから数ヶ月グラグラ黒い物がとぐろを巻いて、私は大変不愉快な中過ごさなければなりません。それが結構自分でも腹立たしいのです。
どうしたらバシッと気持ちを切り替えられるのでしょうか。合わなければいいのは百も承知です。数年に一度程しか会いませんが、全く合わないのは不可能です。もし全く合わないようになる時が来たら、、、その前に暴力振るうかな?
そして私はクリスチャンです。あはは…

 

【中村うさぎの回答】

最後の「あはは…」が笑えました。
そうですか、クリスチャンなんですね。
それではさぞ、人を憎んでしまう自分に罪悪感を抱いてらっしゃることでしょう。

キリストは一応、「人を愛せ」と教えてますからねぇ~。

しかも、相手は自分の父親。
いや、父親だからこそ許せないのでしょうが、やはり血を分けた肉親を憎悪するのは、本人にとって何より辛く苦しいことです。
できれば理想的な親を持って、心置きなく愛したいものですよ。
ところが、そうはいきません。
理想的な親なんて、この世にはほとんどいない。
親だって人間だもん、そりゃあ欠点だらけですよ。
身勝手だったり暴力をふるったりする親もいる。
だから、世間には肉親を深く憎んでいる人が大勢います。

べつに親だからって愛さなくちゃいけないなんて私は思いません。

育ててくれた恩人には違いないけど、まぁ、子どもを作った以上、養育するのは親の義務ですからねぇ。
育ててもらったことに、そこまで感謝する必要なんかないんじゃないかな。
それに欠点だらけの親を持った子どもは確実に不幸なわけですし、「おまえのせいで私は子どもの頃から大変だったんだよ!」てな気持ちになるのは当然です。

いいじゃないですか。
どんどん憎んでしまいなさい。
親だからって遠慮するこたぁありませんよ。
嫌いなものは嫌い、憎いものは憎い。
それでいいのです。

が、それにしても、です。

ここてひとつ、私から問題提起をさせてください。

他人なら笑って許せることも、相手が親だと途端に激しい憎悪が湧いてくるのは、いったい何故なんでしょうね?
天使さんも、赤の他人が偉そうに虚言を吐いてるのを見てても内心で「ぷっ」とか笑っていられるのに、それが父親だと笑えなくなってしまう。
笑うどころか、激しい憎悪と嫌悪の虜になってしまい、理性も客観性も吹っ飛んで、胸の中にグラグラと黒いものがとぐろを巻いてしまう。
文章を読む限り、自己洞察力にも長けていて知的なあなたなのに、何故、父親に対してだけはそんなふうになってしまうのでしょう?

それはね、私が思うに・・・。

 

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